探そうとすると見つけられなくて・・・
夜道で、ようやく、その芳香に呼び止められました☆
「あっ☆」
辺りを見回すと・・・
沈丁花です。
秋の金木犀にはセンチメンタルに心をかき乱され、
春の沈丁花で、ハートは素直に開かれていく・・。
四季を巡る香りたちは、愛の歌を風に奏でて、
主役の心をドラマティックに引き立てます。
遠い記憶も、恋の予感も・・・
香りたちは、わたし達それぞれの心模様を映し出し、
ほんの束の間に、隠しておいた本心をそっと囁きます。
沈丁花の香りの成分は、120~150種にも及ぶため、
芳香成分は、遠くまで漂い、その時間も長く続きます。
三大香木(金木犀、クチナシ、沈丁花)の中でも、芳香の強さは一番だそう☆
その芳香成分には、リナロール、シトロネロール、ネロール、
ゲラニオール、ファルネソール、フェニルエチルアルコール、
ネロリドール、ベンジルアセテート、
シトロネリルアセテート、アセトフェノン、β―イオノン、
ローズオキサイド、インドール
などとあり・・・。
花たちの持つ魅惑の成分を贅沢なほど秘めていることが分かります。
薔薇やベルガモットなどにも含有される「リナロール」が主成分とされ、
これは、多くの人に愛される要素の1つ。
心が開かれる・・・
のは、この成分の心を穏やかにさせる作用があるためです。
沈丁花は、中国・ヒマラヤが原産のジンチョウゲ科、ジンチョウゲ属の常緑低木です。
沈香木のような芳香と、丁子(クローブ)のような花をつけることから、
その名がつきました。
「ん?・・沈香の香り・・?」
こちらは、SubRosaの沈香(Agerwood)のエッセンス
香ってみると・・・
沈丁花の甘い香りとこの沈香のエッセンスとは、香りの印象はかなり異なります。
わずかに「あ、この感じ・・?」と何となく分かるような
ジャスミンにあるインドール調の重厚なフラワーノートと
樹木を燻したようなベースノートが重なる瞬間に
沈丁花の要素をほんのり感じます。
沈香の香りの元となる木は、同じ「ジンショウゲ科」なので、
その芳香の要素はわずかにあるのですが、
蒸留されたエッセンスより、沈香木の「木そのもの」の香りのほうが、
より想起する芳香なのだと思います。
沈香の香りは、SubRosaのBIYAKUでは、欠かせないエッセンスの一つです。
しばらく香り続けると、かなり、高揚して、ふわっと酔ってきます。。。
そう、沈香は媚薬。
ボトルを閉じても、その芳香は漂い続けます。
良質なAgerwoodは、非常に高価なエッセンスのため、
SubRosaの入荷も年に1度ほど。
単体の香りの好き嫌いはかなり分かれるのですが、
Keyエッセンスとして、配合すると、とても深みのある魅力的な香りになります。
沈丁花の精油は、製造されていないため、
この花の香りの再現には、この沈香を少量入れてみても良いかもしれません。
さて、沈丁花の学術名の「Daphne odora」のDaphneとは、
ギリシャ神話の太陽神アポロンに愛された乙女の名:ダフネ・Daphneに由来します。
Odoraは、芳香を意味するので、「香りのあるダフネ」となります。
神話では、ダフネは太陽神アポロンからの求愛を受け入れられず、
父である「川の神」に救いを求めて、月桂樹・ローレルに変えられました。
失恋したアポロンのダフネへの思いが強かったために、
月桂樹は、アポロンの聖樹とされ、
1年中、葉をつける常緑樹のために、「栄光」のシンボルとなりました。
こちらは、月桂樹(ローレル)の葉
クスノキ科である月桂樹とは、まったく異なる沈丁花(ジンチョウゲ科)なのですが、
常緑樹であるその葉がローレルと似ているために、
学術名にダフネの名がついたようです。
花ことばは、アポロンの思いも込められて、「永遠」「不滅」
アポロンの恋は、さまざまな植物の名に隠れて浮上してきます。
毎年、沈丁花に誘惑されると、
名残惜しくて、その場から離れられなくなってしまう。。
ふと、あの曲が聞きたくなりました♪
You Can Never Hold Back Spring By Tom Waits (訳詞:室矢 憲治)
春をひきとめておくことなんてできはしない
僕が信じることをやめぬぐらい、それは確かなこと
赤い薔薇のつるが伸びてくれば
春はすぐ目の前、あるいは、秋はとうに過ぎ去ったってこと
そして、冬はいつも季節がめぐるたび、同じ夢をみる
ベイビー、春をとどめておくことはできないんだよ。
You can never hold back spring
you can be sure
I will never stop believing
the blushing rose that will climb
spring ahead or fall behind
winter dreams the same dream every time
baby you can never hold back spring
たとえ君が行く道を見失ってしまっても
世界は春を夢見続けていく
だから、目を閉じて、心の扉をあけてごらん
きみのことをずっと夢見てきた誰かに向かって。
春をとどめておくことはできない
でも春がもたらしてくれるすべてを心にとどめておおき
ベイビー、春をずっととどめておくことはできないのだけれどね。
even though you’ve lost your way
the world is dreaming
dreaming of spring
so close your eyes
open your heart
to the one who’s dreaming of you
you can never hold back spring
remember everything that spring can bring
baby you can never hold back spring