強い風が吹くので・・・

あの風の仕業・・?

とアロ魔女は、神話へ想いを馳せました。

本日の主役は、ギリシャの男神たちに愛された古代スパルタの王子ヒュアキントス。

 

 

透き通るような清楚さで、ひと際輝く美少年ヒュアキントスは、

太陽神アポロンから、そして西風ゼピュロスからも愛されていました。

ヒュアキントスは、気まぐれに吹く風の神よりも、

温かな太陽の神を好み、いつも共に過ごしていました。

ある日、アポロンとヒュアキントスが、円盤投げをして戯れていたところ、

西風ゼピュロスが焼きもちの風を吹き荒らし、

その円盤は、ヒュアキントスの額に命中してしまいました。

医術の神でもあるアポロンは、すぐに恋人の元に駆けつけ、救済にあたりますが、

甲斐なく、ヒュアキントスは息絶えてしまいます。

 

 

恋人との突然の別れに嘆き悲しむアポロンは、

その亡骸を黄泉の国ハデスに渡すことを許さず、

赤い血に染まった地から、美しい紫の花を咲かせました。

 

その名は、「ヒアシンス」

毎年、春の訪れをいち早く告げる花です。

この花びらには、

アポロンの嘆きの文字「AI AI・・・」

「ああ悲しい」と刻まれているのだとか。

花言葉は、「悲しみを超えた愛」

こうして、ヒュアキントスは、美しい花として生まれ変わったのでした。

 

 

ヒアシンス(学術名Hyacinthus  orientalis)は、地中海沿岸原産の

ユリ科のヒアシンス属の球根性多年草です。

お花屋さんで、探していると、

奥のストックから大事にくるまった包みを出してきてくれました。

黄色と紫を差し出されたので、迷わず、ヒュアキントスの「紫」に☆

覗き込むと、小さな花が連なって、とても可愛らしい!!

鼻を近づけると、蜂たちが大好きそうな、甘く濃密な香りが広がります。

「ヒアシンスアルデヒド」と呼ばれる特徴の成分は、

フローラルでありながら、アルデヒド様の強く芳醇な香りです。

ヒアシンスは、アブソリュート(抽出法)で香料が生産され、香料業界では、

グリーンノートの主要成分として使われています。

精油の主な働きは、神経系の鎮静作用、催眠作用で、

また、脳の創造性を刺激します。

この香りが穏やかな気持ちにさせるからでしょうか。

太陽神アポロンの命によって、

好戦的なスパルタ族(スパルタ教育の由来になった)も、

この花の咲く季節には、戦いを休止し、

花祭りを催して、平和な心で過ごしたと言い伝えられています。

「愛する者に、醜い争いは見せたくない・・」

アポロンの優しい願いだったのかもしれません。

ギリシャでは、イリスのことをヒュアキントスと呼んでいたことから、

神話の中のヒアシンスは、今日のヒアシンスではなく、

アイリス(Iris アヤメ科の植物)の一種だとも云われています。

少し逸れてしまいますが、アイリスは、虹を意味し、

伝令の女神アイリスの名でもあります。

レインボーの虹色6色は、同性愛のシンボルとして、

その差別を無くす運動のために1978年にそのフラッグが生まれました。

ここで、伝えたいのは、この神話が、少年愛を象徴していることからも、

アイリス説と虹のフラッグは繋がりをもつということ。

ギリシャ神話を辿ると、古代から性別を超えた自由な愛があり、

それは、人類にとってごく自然なことでした。

アポロンもゼピュロスも、神ではありますが、バイセクシャルです。

そう、ゼピュロスは、

クロリス(春の女神フローラ(フローラについてはこちら→)の夫でもあるのですから。

 

最近では、我が国でも、LGBTへの認知や理解が少しずつ進んできたように思いますが、

長い時を経て、窮屈に生きてきた人達の勇気ある解放の兆しを

そっと応援したい気持ちになります。

誰もが、自分らしく愛の花を咲かせられますように・・・

太陽神の守護もあるはずだから