原故郷のスラヴ民族 アルフォンス・ミュシャ

 

背後に迫る他民族からの侵入に怯えるスラヴ民族の男女。

息をひそめた静寂の中に、高鳴る恐怖の鼓動。

神への一心の祈り。

夜空には、輝く星々。

平和を愛したというミュシャの絵には、血が描かれないが、

行き場を失う民族の苦しみ、悲しみがはっきりと滲みでていた。

世界ではあまりに多くの血が流され続け、

私たちは今もなお、この闇の正体が、分からずにいる。

人類が生み出す脅威は、はるか昔と何も変わっていないのだ。

幻想的な絵画の数々に、痛みを想像させられ、唯一の願いが感じられた。